1ヵ月を目安に使い切って
できるだけ食材の味と栄養価を損なわないために、冷凍保存をするときに心得ておきたいポイントがあります。まず、食材の鮮度がいいうちに冷凍するのが基本。空気に触れると酸化が進むので、フリーザーバッグに入れたら空気を抜いて密閉する。酸化しやすい肉や魚はラップで包んでからフリーザーバッグに。その際に、食材を薄く平らに均等に広げておくと、冷凍までの時間が短く、解凍時の水分流出も抑えられます。
また、使うときに取り出しやすいよう、小分けするのがおすすめ。食事1回分の分量ごとにパックする、あるいはフリーザーバッグに入れたあと菜箸で十字に溝をつけておくと、線に沿ってパキッと割って取り出せるので便利です。
冷凍庫での収納は、食品が凍って固まったら立てて並べましょう。こうすると見やすく、管理しやすくなります。ほかにも、肉、魚、野菜、と大まかに分類して場所を決めて入れる、手前から使っていき、死蔵品を作らないようにする、といった工夫をしています。冷凍食品にも賞味期限はあるので、1ヵ月を目安に使い切りましょう。
私が提唱する冷凍調理は、単に《時短・簡単》に料理するためではなく、それぞれの食材の特徴を生かし、食生活を豊かにするためのもの。冷凍の仕方も、「そのまま」「塩や醤油に漬けて」「加熱して」「軽く調理して」……と、同じ食材でも何通りもの方法があり、加えて、解凍法や調理法などを組み合わせると、料理のバリエーションは無限に広がります。
ですから、料理経験を積んだ『婦人公論』世代の人こそ、やりがいがあると思うのです。先ほど冷凍すると細胞膜が壊れるというお話をしましたが、中の水分がなくなることで、加熱すると火の通りが早くなり、調味料がよく浸透するという利点もある。
つまり、冷凍することで食材の状態が変化するので、それを利用した調理法が工夫できるのです。長年培った料理の段取り力を発揮して、冷凍調理を楽しんでいただきたいですね。
次ページから、具体的な冷凍法と、それを使ったレシピを紹介します。自分流にアレンジして試してみてください。