現代にも存在しそうな人物像

その長女・政子(小池栄子)は惚れていた頼朝と結ばれたことを素直に喜び、武家社会のトップの妻にふさわしい女性になろうと努めた。だが、愛する人を失ったことで変わっていくのだろう。

妹の実衣(宮澤エマ)は第26話で夫の阿野全成(新納慎也)が頼朝の跡を継ぐべきだという声が上がると、舞い上がる。政子の次の御台所(将軍夫人の敬称)には自分がなるべきだと思い込む。

それだけに政子が「あなたに御台所が務まるものですか」とダメ出しすると、憎悪をあらわにする。ずっと仲の良い姉妹だったが、この関係も変わっていくに違いない。

この4人のキャラクターのどこが秀逸かというと、いずれも現代にも存在しそうな人物であるところ。約800年前の人たちとは思えない。身近に感じられる。だからドラマ全体が現代劇感覚で楽しめる。

政子(小池栄子・左)と妹の実衣(宮澤エマ・右)の関係も変化する

義時のように上司の影響を過度なまでに受ける若者はよくいるし、時政みたいに若妻の言葉に発憤する人間も珍しくない。政子のようにパートナーの存在が生きがいの人もいる。実衣のようにきょうだいを憎む人も存在する。

この4人に限らない。いつも斜に構えている三浦義村(山本耕史)ら登場人物の全員がまるで隣人のよう。キャラクター設定が巧みなのだ。