頼朝謀殺の誤報を受け、頼朝の弟・源範頼(迫田孝也・右)の運命も大きく変わる

合戦シーンを大幅に省略し、人間を描くことを優先

実際、あの時代も今も人間の内面はそう大きく違わないはず。他愛もないことで誰かを憎んだり、権力を望んだり、嫉妬したり。大河ドラマというと、遠い時代の立派な人たちの物語に見えてしまいがちだが、『鎌倉殿の13人』は違う。

また、動乱期を舞台とする過去の大河は合戦シーンを売り物にしたが、それを大幅に省略し、人間を描くことを優先しているところも面白さを高めている。例えば源義経の名を高めた源平合戦における「一ノ谷の戦い」(1184年)はほとんど描かれなかった(第16話)。同合戦のハイライトである「屋島の戦い」(1185年)は割愛された。

義経と共に平家を滅亡に追い込んだ源範頼(迫田孝也)の武功もほとんど紹介されなかった。半面、兄の頼朝に謀反を疑われて流罪となり、やがて暗殺される範頼の末路はしっかりと描かれた。

「こんなにデカイのが採れたぞ」

伊豆の修善寺に流された範頼は農作業に打ち込み、収穫したばかりのナスを家人たちに笑顔で自慢した。これまでに見せたことのない晴れやかな表情だった。直後、頼朝の命を受けた善児(梶原善)に刺されてしまう(第24話)。