「人生一回きりなんじゃけん、楽しまないと損よ」

母の死から間もなく2年。101歳になった父は、元気に一人暮らしをしています。要支援1の認定は受けていますが、「わしは自分でできるんじゃけん、(介護サービスは)いらん」と断っているので、娘としては少々心配。

でも相変わらず病院で筋トレはしているし、映画2作が公開されたことで呉ではちょっとした有名人。町の人が声をかけてくれるので安心なんです。

そんな父の姿を今も撮り続けています。両親の次には自分の老いも記録する予定。母も、母方の祖母も認知症だったから、私もなるんだろうかと恐れた時期もありました。

でも「だったら自分で撮ればいい」と考えたら面白くなってきて(笑)。自分のことがわからなくなったら、信頼できる人に「あとは任せた!」と、撮った映像を託すことにしています。

母はよく「人生一回きりなんじゃけん、楽しまないと損よ」と言っていました。それが信友家の家訓にもなっています。楽しみながら、面白がりながら。父と私の日々は、これからも続いていきます。

【関連記事】
信友直子 なぜ90代の父は、認知症の母に怒ってはいけないのを分かっていながら激高したのか。ひとり娘が撮る「老々介護」の日々に見えた”父の愛”<前編>
つつましやかだった母が認知症になり父に甘えるさまにぎょっとして。人生は寄って見れば悲劇、引いて見れば喜劇
「認知症の母の世話をヘルパーさん任せにするのは責任逃れ」と思っていた。家族だけができる役割は「介護」でなく「愛すること」