猫がいるシェアハウスを舞台にしたドラマ「ねこ物件」の主演を務めた古川雄輝さん
猫がいるシェアハウスを舞台にしたドラマ「ねこ物件」の主演を務めた古川雄輝さん。ドラマの反響を受け、映画「劇場版 ねこ物件」が8月5日より公開、ノベライズ版も発売中。 主人公「優斗」のモデルにもなった一風変わったご友人のお話や、愛してやまないちょっと変わった猫とのお話、帰国子女としてのご自身のお話など、多岐に渡って語っていただいた。
(構成◎岡宗真由子)

幼い頃は猫ぎらい

自分は幼い頃、抱っこした猫に耳を噛まれてしまい、しばらく猫嫌いでした。その後、小学校中学校の時は、カナダ暮らしだったんです。カナダでは猫を飼っている人がほとんどいなくて猫に触れ合う機会がありませんでした。欧米では、日本ほど猫は愛される存在ではないというか。映画やドラマでもどちらかと言えば不吉な存在だったり、ずる賢いみたいなイメージがあったので猫に興味を持つ機会に恵まれずにいました。でも日本で暮らすようになり友人宅などで、猫に触れ合うと「こんなに人間と意思疎通がとれるんだ」とか「頭がいいんだ」みたいなことを知るようになって、だんだんと猫好きになっていったんです。

 

「ねこ物件」面接で話すとしたら…

「ねこ物件」では、人付き合い苦手な優斗が、ねことの相性を手がかりにシェアハウスの住人の面接をしていきます。もし自分が「ねこ物件」の面接を受けるとしたら、自分の猫の話で絶対合格できると思います。(笑)

自分は2匹の猫を飼っています。1匹はルークという名のアメリカンショートヘアの雄猫です。ペットショップで売れ残り、値段が下がっていく様が痛ましくて、試しに抱っこさせてもらいました。その時、自分のケージに戻ろうとした彼が、透明のアクリル板に気づかず飛び込んで、ボーンってぶつかって転んでしまったんです。そのなんとも不出来な様子を見て「この子をください!」って反射的に言いました(笑)。多分生まれつき不器用なんですよね、でもそんなところがたまらなく可愛い。

もう1匹はステラ。この子はルークを飼った後に近所で拾いました。どこからともなくニャアって聞こえて、しゃがみ込んだら膝に乗っていたんです。そのまま連れて行った動物病院で「メス猫ですね」と言われたので、好きな漫画『荒川アンダーザブリッジ』の登場人物の女の子から、名づけました。ところが、1週間後もう一度病院に行ったら「オスでしたね」って。でもさんざん「ステラ」って呼んでしまっていたので、今も女の子の名前のままです。

捨て猫だったステラはすくすく育ちました。それに比べてペットショップから来たのにルークは不細工だし、短足でお腹も出てるし、毛艶もない。ルークは何か言いたい時に「にゃあ」と言わずに「ぷすっ」としか言わないんです。「シャー」って言ったのもマタタビに酔っ払った時だけでした。ステラに噛まれても怒ることもない。

それなのに遊びに来た猫とステラが喧嘩した時は、飛んでいって「ダメ!」とばかりに「にゃー!」って言ったんですよ。正義感のある猫って珍しいですよね。そんなルークの猫らしくないところが好きなんです。

雨の中、探しに行かない飼い主はいない「ねこ物件」に出てくる優斗の「猫のどこが好きというよりは、その猫が持っている特有の性質が好きです」っていうセリフ、自分はすごく共感するんですよね。