なぜだか相手がムッとするもので…
自分はライン交換だとか社会的なことはこなせるのですが、「優斗」に似ているところがあります。猫好きはもちろん、綺麗好きだったり、人付き合いが得意じゃないところ。人付き合いが苦手なのは、「帰国子女」だったからというのを言い訳にしています。
自分は12年間外国暮らしで、大学に入るタイミングで帰国しました。大学でダンスサークルに入った時の出来事なのですが、先輩に「飴いる?」って聞かれて「いりません」って答えたんですよ。そうしたら後から別の先輩に怒られまして。「あそこは嘘でも『ありがとうございます』って言うところだろ」って。カラオケで最初にバラードを入れただけで「わかってない」と注意されたり。そういう日本的な気遣いの仕方がわからなかったんです。自分としては誠実に対応しているつもりなのに、相手をムッとさせてしまうから、どうしたらいいのか分からなくて…途中からは寡黙な人のフリをしていました。
仕事を始めてからはけっこう日本の流儀でやれるようになってきたんですけど、最近はそんなに空気を読まなくてもよくなってきたような気がします。
自分はイギリスで舞台に出た経験があるのですが、イギリスでは「番手」という順位のようなものを気にしていない。監督だろうが主役だろうが、どこに座るも立っているも食べるも飲むも自由な状態で、本読みをします。
ちなみに日本の舞台の世界での本読みは、番手で席順や入時間が決められていますし、監督や主演俳優が入室したらみんなで立って一斉に挨拶する。俳優にも裏方にも序列がついていて、それに伴う暗黙のルールがたくさん存在します。日本で舞台でやっていこうと思ったら「気遣い」に一定量心を割く必要があります。でもイギリスは、「いい舞台を作る」この一点以外は気にしなくていいという現場でした。正直、自分にとってそれはとてもやりやすかったですね。