撮影:本社写真部
「レンタルなんもしない人」として、今、さまざまなメディアで取り上げられ、注目を集めている森本祥司さん。1日に数十件もの依頼が舞い込む、「何もしない」という不思議なサービスがなぜ生まれたのか、その理由を聞きました

他人であれば気をつかわずに頼める

2018年6月から僕は、“レンタルなんもしない人”というサービスをやっています。「なんもしない人(ぼく)を貸し出します」という告知をTwitterに掲載し、呼ばれた場所までの交通費とお店に入ったときの飲食代などの経費を払ってもらえたら、「1人で入りにくい店への同行」や「花見の場所とり」など、「ただ1人分の人間の存在だけ」が必要なシーンに、僕という存在を利用できるというサービスです。

たとえば最近だと、「迷子になってみたいけれど、1人だと心細いので同行してほしい」という依頼がありました。3時間ほど一緒にぶらぶらと歩いただけですが、依頼者は「充実した時間だった」と喜んでくれました。そうしたインターネットの遊び感覚に近い依頼もあれば、「離婚届を提出するのを見届けてほしい」など人生の節目に立ち会うような依頼もあります。

近しい人には言いづらいことも、僕のような他人であれば気をつかわずに頼める。また、余計な気づかいやアドバイスをされるのもしんどいから、「なんもしない」僕のサービスを選んだという人もいました。

「なんもしない」ことに焦点が当てられることが多いのですが、依頼の内容やその後の末をTwitterに書くことは本気で「やって」います。僕の真似をする人は増えていても、誰もあまり依頼が集まっていない。何が違うかというと、メディアとしての発信力があるかどうか、コンテンツをうまく発信しているかどうかじゃないか、と思っています。