真田昌幸・真田幸村
別所温泉(長野県上田市別所温泉)
●別所温泉
NHK大河ドラマ『真田丸』の真田氏の居城のあった長野県上田市の南西端、 夫神(おかみ)岳と女神(めがみ)岳の裾野に湧く別所温泉は神武天皇の東征の折に発見されたとも、慈覚大師の発見とも伝えられる。古くは「七栗(ななくり)の湯」とも呼ばれ、『枕草子』の中で、清少納言が「湯はななくりの湯」と称賛しているのが別所温泉だという説もあり、戦国時代には上田城主・真田氏とその家臣たちが入湯したという記録が残る。
池波正太郎の『真田太平記』など、真田一族をテーマにした一連の作品の中で、別所温泉がしばしば登場する。真田幸村が馬を飛ばして入浴に訪れたり、湯殿の白い湯煙の中で女忍者・お江(こう)と結ばれる設定などがされたことから、俄然「真田幸村ゆかりの湯」として脚光を浴び、以来、時代小説ファンを中心に別所温泉が話題に上るようになった。
幸村が実際に入浴したという具体的な伝承や記録は残っていないが、別所温泉を訪れた池波との縁で、上田市では共同浴場「石湯(いわゆ)」の前に、六文銭を頭に池波の揮毫による「真田幸村公隠しの湯」の石碑を建立した。