真田昌幸・真田幸村
角間(かくま) 温泉(長野県上田市真田町)
●角間温泉
群馬県との県境に近い上田市真田町の角間渓谷は紅葉の名所として知られ、この辺りは戦国時代には真田一族が治めており、真田十勇士の一人・猿飛佐助が修行したところという伝承も残る。
真田の集落から人家もない角間渓谷の細い道をしばらく行くと角間温泉に着く。角間温泉は「真田の隠し湯」の一つといわれ、現在では一軒宿の「岩屋館」のみが営業している。「岩屋館」には男女とも2つの浴槽(内風呂)があり、一つは鉄を含んだ炭酸泉で、湧出時には透明であるが空気に触れると酸化して茶褐色を帯びる。いま一つは角間渓谷の湧水を加温したもので、この湧水は真田家が茶の湯とするために汲みに来たという由緒ある名水である。「岩屋館」の大浴場「若松」からは、猿飛佐助が修行したといわれる角間渓谷の迫りくる岸壁を眺めることができ、外に出れば混浴の温泉露天風呂もある。
※本稿は、『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(中央新書ラクレ)の一部を再編集したものです。