圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第27回は「宝塚にエールを」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
21年間で一度だけ経験した「休演」
丈夫な体が取り柄の私も、21年宝塚にいた中で、
一度だけ「休演」をしたことがありました。
しかも開演してから途中で倒れてしまい、
大迷惑な大失態を演じてしまいました。
あれは忘れる事の出来ない苦い経験です。
日頃から、多少どうであれ「寝たら治る!」と豪語していた私は、
自分の体を買いかぶっていたのです。
あの日以来、深く反省をし、
あんな経験は二度としない!と心に誓いました。
舞台に立つ人間が最も避けたい事、
それは怪我や病気による「休演」です。
舞台人の自己管理は徹底しています。
毎日全力で舞台を務められるように、
終演後や休演日にはボディメンテナンスをし、
とにかく自分の身体のコントロールに時間を費やします。
身体と心の声を聞いて、
寝て起きたらリセットされるように、
ストレスを溜め込まないように、
みんな人それぞれのやり方で自分をコントロールしています。
でもどれだけ気を使っていても、生身の人間です。
病気やケガは起こります。