この記事の目次
〈症状〉胸やけ、げっぷから胸やのどの痛みまで 〈原因〉胃の境界が加齢によってゆるむ
〈治療〉薬で効果がない場合は外科的手術も
〈予防〉腹八分目を心がけ、ストレスをためない

〈治療〉薬で効果がない場合は外科的手術も

「予防」でふれる生活習慣の改善が治療の第一歩。それで良くならない時は、プロトンポンプ阻害薬という薬を服用します。胃酸の分泌を強力に抑える薬で、症状が強くなる前に飲めば速効性があります。

胸やけなどの症状が出ている人の食道を内視鏡(胃カメラ)で見ると、食道粘膜に炎症が確認できる場合と、見た目は正常な場合があります。後者は、胃酸に過敏に反応する体質のため炎症が見られないと考えられます。飲み薬は、炎症が確認できる人では9割以上で効果が出ますが、炎症が確認できないタイプだと効果は下がるため、その場合は薬の量を増やしたり、別の薬を使ったりすることも。

薬で効果が不十分なら、手術という選択肢も。手術を受けるのは食道裂孔ヘルニアを持っている人が大部分です。食道側に上がってしまった胃を元の位置に戻し、ゆるんだ横隔膜を縫い合わせ、さらに胃の一部を固定することで食道括約筋の働きを補います。腹部に開けた小さな穴からカメラや手術器具を差し入れて行う腹腔鏡手術なら、数日間の入院ですみます。食道が強い炎症を起こした状態が続くと食道がんの危険が高まるうえ、炎症がひどいと物が飲み込みにくくもなります。長期間薬を飲み続けるよりはと考え、手術を選ぶ方もいます。

 

正常な胃と食道裂孔ヘルニアの胃