勉強や読書をする気力がわいて別人になった

しかし、図書館という居場所が出来て、私は別人になった。
貪るように本を読み漁るようになったのだ。
静かで空調が効いている開放的な空間にいると、自然と勉強や読書をする気力がわいてくる。

本当に、私にとって唯一の居場所が図書館だった。
生命線だった、と言えるだろう。
図書館が休館の日は本当に憂鬱だった。

自然と勉強や読書をする気力がわいてくる。図書館で私は別人になった(写真提供◎photo AC)

貧困家庭に限らずとも、家庭不和などで家に居場所がないという子どもたちはきっと少なくない。そんな子たちにとって、夏休みは試練である。

貧困家庭の子どもたちは、「体験」において圧倒的な格差に直面する。
国立大学法人お茶の水女子大学による研究(『保護者に対する調査の結果と学力等との関係の専門的な分析に関する調査研究』)によれば、高所得者層ほど美術館や博物館、科学館などに行く頻度が高いという。

いわずもがな、旅行をはじめ文化体験をする機会も多くなるだろう。
さらに、高所得者層ほど蔵書数も高い傾向にある。
こういった要因が、子どもの学力にも影響を与える。

そういった《文化的》体験はお金がかかる。だからこそ、無料で提供される体験は貴重なものとなる。