「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーに、ライターとして活動をしているヒオカさん(写真提供◎ヒオカさん 以下同)
2020年から続く新型コロナウイルスの影響で、経済的に困窮する人も増えている。そのなかでも見落とされがちなのが「若者の貧困」だという。「若くて働けるのだから自己責任では?」という声もあるが、その構造を私たちは理解できているのだろうか。自らも貧困家庭に生まれ、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしているヒオカさんによる新連載。第2回は「県営住宅の団地で過ごした幼少期の話」です。

私の存在は、社会から見えなくなっている

私は透明人間のようだ、と思うことがある。

私の存在は、私の属性は、社会から見えなくなっているのだと。

一昨年、そう感じる出来事があった。

2020年4月に発表された初めてのコロナ対策の給付金の対象は非課税世帯だった。

非課税世帯の基準は、自治体により差があるため、統一された基準が示された。それによると年収が単身で100万円、扶養家族が1人で156万円、2人で205万円、3人で255万円以下の人が対象である。

その際、ネット上で散見されたのは、低所得者バッシングだ。

「納税者に還元されないのはおかしい」

「働いた人が損をする」

といったものが多かった。

中には、

「普通に働いていれば非課税世帯にならない」

「非課税世帯なんて存在するのか」

といったものもあり、低所得者層への偏見や無理解が露呈したかたちだ。

結果的には非課税世帯対象という条件は撤回され、条件を設けずに一律に10万を給付するかたちで落ち着いた。

この一連の出来事を見ながら、非課税世帯は、「存在しないに等しい」と思われているということを知った。

(実際は非課税世帯は2200万人いるとされている)