世間に増大しつづける《ダメ出し》で、社会がどんどん窮屈になってきていると感じることはありませんか?(写真提供:PhotoAC)
上司から、友達から、家族から、そしてSNSで知らない人からも。世間に増大しつづける《ダメ出し》で、社会がどんどん窮屈になってきていると感じることはありませんか?コピーライターであり「世界ゆるスポーツ協会」の代表理事でもある澤田智洋さんは、意図的に相手をホメる《ホメ出し》の言葉の力で、《ダメ出し》が蔓延する「呪いの時代」から「祝いの時代へ」変えていけると呼びかけます――

「ホメる」のが難しい時代

「ホメるのが苦手です」

そんな声をよく聞きます。仕事仲間を、友達を、子どもを、もっとホメたい。だけど、何をホメていいかわからない。どうホメていいかわからない。それどころか、口をついて出てくるのは意に反して小言だったりする。

ホメるのが難しい時代でもあります。よかれと思って、男性上司が女性の部下に「髪切った?似合ってるね」とでも言おうものなら、「セクハラ!」とフロア中に響く声で叫ばれかねません。

では、もう私たちはホメなくていいのでしょうか?私はそうは思いません。なぜなら、適切なホメ言葉は、相手にいい未来をプレゼントし、風通しのいい人間関係につながり、なにより社会にいい空気をつくるからです。

人類は言葉を手にしてから、高度なコミュニケーションを行うようになりました。言葉があるからこそ、宗教や文化、社会そのものが形成されてきたといっても過言ではありません。

言葉はテクノロジーです。そして、すべてのテクノロジーは、光と影の両面をあわせもちます。例えば火は、人を温めることや、肉や魚を焼くことができる一方、人に火傷をおわせることがあります。

言葉も例外ではありません。人の支えになったり、背中を押したり、生きる希望になることがある。その反面、人を傷つけたり、絶望に陥れたり、社会に影をさしたりすることがあります。

だからこそ私は、言葉を、より光として使っていきたいと日々奮闘しています。

それは、「増大しつづけるダメ出し」という社会課題に対して楔(くさび)を打ちたいからです。