意図的に相手をホメる「ホメ出し」は簡単なことではありません。でも、ホメ出ししようとする、その態度がまず大事なのです(写真提供:PhotoAC)

「ダメ出し」は連鎖的に社会全体にダメージを与える

意図的に相手をホメる「ホメ出し」は簡単なことではありません。脳に汗をかかなければいけません。ときには時間がかかります。なかなかいい発見に至らないかもしれない。適切な表現法が見つからないかもしれません。でも、それでいいのです。ホメ出ししようとする、その態度がまず大事なのです。

例えば、タクシーに乗ったとしましょう。運転手さんが散々道に迷い、想定時間をはるかにオーバーして目的地に到着したとき、あなたはどんな言葉をかけますか?

「ひどい運転手にあたった」「最悪の気分になりました」「会社に連絡してクレーム入れておきますね」

ダメ出しをするのは簡単です。でも、よく考えてください。あなたがダメ出しをしたときの運転手さんの気持ちを。自分でも(道に迷ってしまった)(やってしまった)という自責にすでに苛まれていたのであれば、あなたのダメ出しはダメ押しになります。

暗澹とした気持ちを引きずり、次のお客さんを乗せたときにも上の空で再び道に迷うかもしれません(いやもしかしたら、あなたの前のお客さんからダメ出しを受けたショックで道に迷ってしまったのかも)。

ダメ出しは、ドミノ倒しの一枚目のように、連鎖的に社会全体にダメージを与えることがあるのです。