浦島太郎感にうちのめされる

あれ?なんで?と焦って周りを窺うと、全員が同じサイトにアクセスしていた。それは、大学サイトにある統計ツールだった。学籍番号でログインして、クイズの答えを解答すると、数分後に、教室の大画面スクリーンが棒グラフに変わる。学生たちの答えが一目瞭然にでるのだ。実はこの統計ツールは、出欠確認の役目も果たしているらしく、クイズに答えることが出席のあかし。

私も次の週からは、クイズが出た瞬間にスマホを取り出した。ここでも、強い浦島太郎感にうちのめされた。

ああ、もう、これ以上は書くのも嫌なんだけど、授業のデジタル度のハードルの高さに心が折れたわたしだが、翌週あることに気がついた。大学のメールを開けると、登録した授業ごとに私のマイページができていて、授業で使う大量のデータが日付ごとに整理されて毎週、アップされていくのを知った。資料も動画も、授業のスライドもすべてだ。ちなみに宿題もここからアップロードするらしい。なんて充実しているのか。

ノートに死に物狂いでグラフを写していた自分の滑稽さに敗北を抱き締めた。でも長年の習慣は変えられない。それからは、左手にAppleのPCとiPhone、右手には紙のノートと3色のペンという千手観音スタイルで授業にのぞんでいる。千手観音は、生きとし生けるもの全てを救済するという。異国で英語とデジタルの海にもまれる私を、どうか救い出してほしい。

留学直後、真冬のセントラルパーク 池も凍りついている