私の新しい女神

私が在籍しているのは、コロンビア大学のウェザーヘッド東アジア研究所。ここでしばらく客員研究員として過ごす。専門職をもつ東アジア出身の成人が、自分の研究をやりながら、大学の授業に参加できる大人のための研究所だ。日本や韓国、中国などの企業やメディア、官僚の方が在籍していた。

怯えていた私を、事務局のスーザンはあふれるような笑顔で迎えてくれた。「Hello! You must be Tomoko? Welcome to Columbia University」たった、それだけだ。笑顔と短い言葉。それだけで私のガチガチの緊張はほぐれた。ああ、ここにも私の新しい女神がいる。この人を頼りに留学生活を送ろう!と、その場で決めた。

彼女から、ひととおり大学のシステムの説明を受け、コロンビア大学の学生証も取得した。この学生証はすべての建物の鍵として使われている。これがなければ建物に入ることはできない。しっかりと握りしめる私。そして、スーザンは言った。
「どの授業を登録するか、決めたらすぐに手配するから教えてね」

渡米した2022年1月、すでに大学の春学期が始まっていた。アメリカは2学期生で1月から4月が春学期、9月から12月が秋学期だ。すでに春学期が始まって2週間たっていたからなるべく早めに授業を決めなければならない。

その夜、家族が寝静まった後、コロンビア大学のサイトを穴が開くほど見つめて、授業を探した。私は特定の学部に所属するわけではないので、先方が受け入れてくれればどの学科の授業でも受けることができる。見始めたら全く追いつかないくらいの数になった。

片っ端から興味のある授業をコピペして、一覧にし、そして繰り返し見直して、候補を10講座に絞った。繰り返していうけど、英語は苦手だ。授業を決めるために大量の英語を読み続けて明け方までかかったので、スーザンに候補をメールして、次の日は大学を休んだ。初サボりだ。