レストランに行ったら、どのオススメを選ぶ?

これは若者に限った話ではない。世代に関係なく、人は直感的に意思決定できたほうが楽だからだ。

レストランに行って、お店の人がおすすめメニューを紹介したときと、そのお店に連れて行ってくれた友だちが「これめっちゃ美味しかったよ」と言ったときの違いを想像してみてほしい。

前者の場合、あなたはいったんその情報を預かることになる。おすすめ料理の値段や店員さんの価値観など、多くのことを勘案して意思決定しなければならない。

それに比べて、後者の情報はより素直に受け止めるはずだ。友だちの価値観が自分と近い場合は特に、迷う余地はなくなる。

心理学では、お店の人からの情報は「自分たち(経営側)の都合のいいように編集されているのではないか」と考えるバイアスの存在を指摘している。もちろんそれもあるだろう。しかし私は、今はむしろ自分で決めるストレスが大きく影響していると考えている。

プラス、今の若者はSNSネイティブであり、直感的に決めることに抵抗もない。

SNSに投稿されている消費体験やインフルエンサーの情報は、こちらに球を投げかけてこない。いったん持ち帰り、熟慮し、自分で意思決定せよ、のプロセスがない。見たそのままの感覚で、自分で決めたというストレスなしに、購買に至ることができる。現在の若者は、自分で決めることにそのくらい抵抗がある。

 

※本稿は、『先生、どうか皆の前でほめないで下さい――いい子症候群の若者たち』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。


先生、どうか皆の前でほめないで下さい―― いい子症候群の若者たち』(著:金間大介/東洋経済新報社)

ほめられたくない、目立ちたくない、埋もれていたい……。今、こんな若者が激増している。
・「成功した人もしない人も平等にしてください」
・選択の決め手はインフルエンサー
・「浮いたらどうしようといつも考えてます」
・LINEグループで育まれた世界観
・もう「意識高い系」とすら言わない
・上司からの質問を同期に相談する
・自分に自信はないけど社会貢献はしたい
令和の時代の重大異変を、イノベーションとモチベーションの研究家が徹底分析!