ほかの子とではなく、我が子の過去と比べて

てぃ先生 学校の勉強を先取りしたい親御さんはいて、それも別にいいとは思います。でも、そのほかにも幼児期にやっておくべきことはある。子ども自身が好きなことをとことんやらせること、そして子どもを褒めることです。

そういうご家庭では、お子さんがあまり褒められていないんです。褒められるのは、ドリルの問題が解けたときとか、親の言うことをやったときだけ。親が望んだ何かをしないと、「いい子」認定されない家庭がすごく多いと感じます。

でも親御さんにそういう話をすると、「いや、そうは言っても、うちの子なんて褒めるところないんですよ」と言われる。でも僕に言わせれば、褒めるところは山ほどあります。例えば小学4年生の子なら、「5年前、今のように紐ぐつが上手に履けましたか」と聞きたい。そう考えれば、成長したこと、褒められる点はたくさんあるはずです。

どうせ比べるのなら、ほかの子とではなく、我が子の過去と比べてみてほしい。新しくできたことだけでなく、過去から継続してやり続けていることを褒めるだけでも、子どもの自己肯定感や自信は養われると思います。難しく考えすぎず、気軽に褒めてやってほしいです。

高濱 自分の目で自然と子どもの本質を見出しているてぃくん、すばらしいなあ。

他所の子との比較で不幸のどん底に落ちている親御さんは多いからね。親ってどうしても気になっちゃうんですよ。他所の子が掛け算ができると聞くだけで焦るし、年賀状を見ても「あの家の子はもう漢字が書けるじゃん!」と頭に血が上ってしまう(笑)。でもそれはしょせんは他人との比較でしかありません。

当の我が子は毎日何かができるようになっているし、日々本当に輝いている。そこを見てやって、言葉にすればいいだけなのです。親御さんは、どうか魔物に囚われないようにしてほしいですね。

●てぃ先生×高濱正伸 子育て対談〈後編〉はこちら


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