社会的な自分の役割を考えながら

そんなコン・ユが自らの感情を吐露したのが2019年9月30日にソウル市内で行なわれた『82年生まれ、キム・ジヨン』の制作発表会だった。

その場で彼はこう語った。

「脚本を初めて読んだときには、家族のことを思い、かなり泣きました。特に母のことが多く思い出され、電話をかけて『子供を育てるときに苦労したでしょ』と声をかけました」

脚本を読んで泣いたコン・ユは、その気持ちを忘れずに『82年生まれ、キム・ジヨン』と向き合った。

その末に、彼はどんな手応えを得たのか。

コン・ユはこの映画について次のようにも語っている。

「自分の声を出せなかった女性が、自分の声を出すことができることに感謝しました。それは、自分も一人の人間として世の中に伝えたい話です」

この言葉が持っている奥深さを考える。

コン・ユは社会的な自分の役割を考えながら、『82年生まれ、キム・ジヨン』という映画に俳優としての魂を込めた。