2020年の新語・流行語大賞にノミネートした「第4次韓流ブーム」。ブームの背景には、すっかり日本でも定着した韓国ドラマの存在があります。韓国の歴史・文化・韓流や日韓関係を描いた著作を持つ作家の康熙奉さんによれば、韓国ドラマを彩る男優たちにはファンから愛されるだけの背景を持ち合わせていると言います。ではヒット作『トッケビ』『イカゲーム』に出演したコン・ユならではの魅力とは――。
空想と神秘の世界
『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』のメインのストーリーは、コン・ユが演じるキム・シンとキム・ゴウンが扮するウンタクが、時空を超えた存在同士としてどのような恋愛を展開していくか、ということ。これが本筋だ。
それにしても、このドラマは、「こんなにも空想の世界を楽しませてくれるのか」というほどに神秘的だ。
そんな世界に酔いながらふと考えてみる。「現代人の誰もが胸に剣が刺さったまま生きているのではないか」と……。
苦悩がない人はいない。
みんな、それぞれに悩みながら毎日を必死に生きている。
それは、言ってみれば、胸に剣が刺さったままと同じ状態ではないのか。ただ、その剣は見えていない。
そうであるならば、その剣が見える人を探すのもまた人生の目的である。
そして、どんな人であれ後ろから死神に追われていることには違いがない。「死」は避けられないものであり、人間は遅かれ早かれ「生の世界」から「死の世界」に移っていかなければならない。