すぐに決断した姉、「なんで?」と泣いた姉

当時、姉2人はほんまによう喧嘩してましたね。歌江姉ちゃんが出産してまだ小さい子を育てていた時、お手伝いさんがお休みの日は楽屋に子どもを連れて来はるんです。そしたら照枝姉ちゃんが「芸能人が楽屋に子どもを連れてくるもんやない」って、バシッと言うの。それで上の姉が泣き出して、大喧嘩ですわ。(笑)

周りから「姉がモメてんのやから止めたらどうや」と言われたけど、いつものことやから、私は知らん顔で見とくだけ。「勝手にやらしといたら今に直るから」って。どっちがいいとか悪いとか言えへんし、実際そのあとみんなで麻雀したり、食卓囲んでおいしいもの食べたりすると、すぐに忘れてまうんです。まったく根に持たない。そこはやっぱりきょうだいですね。

私は上の姉に可愛がられて、怒られたことはあまりないの。姉たちには常に感謝の気持ちを持っているから、喧嘩にならないのと違いますか。そもそも私、モメるのは嫌い。だって楽しいほうがいいでしょ。いつも怒ってる2人も、なんやかんや仲がいいんやと思いますよ。

長年続けてきたトリオの活動を休止することになったのは、45歳の時。照枝姉ちゃんと2人で、「漫才ってだんだんなくなるんと違う?」って話していたんです。実際少しマンネリになってきて、ウケなかったら喧嘩を始める。

普段は仲がいいのに、漫才のために喧嘩するのが嫌やって相談したら、照枝姉ちゃんは「わかった、ほなやめよ!」とすぐ決断してくれた。それを歌江姉ちゃんに伝えたら、「なんで、なんで?」って泣いてましたね。

解散後は、上の姉は講演で忙しくなり、下の姉は松竹新喜劇へ行って。私も徐々にピンの仕事をいただくようになりました。舞台中に怒ってくる人がいないから、それはもう嬉しかったですよ。(笑)

一人で仕事をするようになって40年以上ですが、きょうだいの関係はずっと変わりません。むしろ漫才で喧嘩しなくなったぶん、今のほうがいいのと違うかな。