さまざまな立場の人から反響をいただくように

体が不自由になった以上、道具を使いこなせない自分を責めるのではなく、もっと自分に合う物を探したり、使い方を工夫したりする必要があります。

包丁であれば、片手で押し切るにはある程度の重さが必要だろうと、重量のある出刃包丁をしばらく使っていましたが、テレビの通販番組で見かけた114gという軽い包丁を試してみたら、意外と使いやすかった。

包丁の使い方も試行錯誤の連続です。以前のように包丁を手前に引いて切ることができないので、刃元の角をまな板につけて安定させ、刃先を下ろしていく。タマネギのように丸い物を切るときは、転がらないようにまず包丁の先をポンと突き刺し、叩きつけるように包丁を下ろして縦半分に切り分ける。

4:包丁の切れ味を保つため、マメに研ぐようにしている。これも通販番組で見つけた/5:肉を焼くときやパスタを掴むときなどに重宝するトング/6:レモンの皮やチーズ、しょうがを撫でる力でおろせるグレーター

ニンニクは肉叩きで皮のままつぶし、軸の部分を切って、皮を取り除いてから包丁を入れれば、簡単に粗みじんができます。道具を使いこなすコツは、棚にしまいこまず、手の届く場所に置くこと。そして毎日使うことです。

そうした情報や、片手でもできる料理のレシピをインスタグラムにアップするようになり、投稿数は2500件を超えました。冷やし中華も焼き鳥丼もワンタンもレモンケーキも、すべて「ワンハンド」で作ったもの。

すると僕と同じ障害を持った人やそのご家族、赤ちゃんを抱いたまま料理しなければいけないお母さんなど、さまざまな立場の人から反響をいただくようになりました。

インスタグラムには、日々の食事の様子が綴られる