娘を失って気付く過ち
私が演じたキャピュレット卿は、キャピュレット家の当主で、
いろんな女性に現を抜かし、 妻を蔑ろにし、
「こんなときにあなたは何をしていたの!?酒?ギャンブル?女?」
妻に言われた台詞のすべてをやっているであろう人物です。
そして、娘を愛してるのにそれがうまく伝えられない
そんな不器用な父親でした。
私の言う通りにしたらお前の為になるのに、なぜわからないんだ!
思わず娘に手をあげてしまい、我に返ります。
強くて何も怖いものなどないようなキャピュレット家の当主。
でも彼も人の子、心情を吐露するこの歌が、彼のすべてを物語っています。
「冷たい父だと娘は思うだろう
妻にも愛されずつまらない男だと
確かに私は家庭を顧みず
父親らしいこと何一つしてやれず過ごした
お前の涙は 私の心に突き刺さり
私の自信さえ揺るがし 過ぎた日を振り返る
お前とパリスが結ばれるそれこそ
お前と我が家に幸せをもたらすのだ
大人の考えだ
お前が憎くて押し付けるわけじゃない
娘よ お前の頑なな強さは
私に似たのか
いつかはわかりあえる日が来ると
信じている」
そのいつかは永遠に来ることはありませんでした。
娘を失って気付くのです。
大人たちの過ちを。
争うこと、憎みあうことの虚しさを。