(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第30回は「ロミオとジュリエット」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

娘はやらん!「ロミオとジュリエット」キャピュレット卿

「娘よ お前の頑なな強さは
私に似たのか 
いつかはわかりあえる日が来ると
信じている」

娘のジュリエットを想って歌うこの歌を初めて聴いたとき、
この役がやりたい!!
あまりそんなことを思わない私が、初めてやりたいと思う役に出会いました。

それが「ロミオとジュリエット」のキャピュレット卿でした。
脇役と言われる役で、本音や心情を歌で語るような場面は少ないように思いますが、
娘を想う心情が描かれているところに、強く心惹かれました。

「ロミオとジュリエット」の舞台となったヴェローナにあるジュリエットの家。バルコニーの下にはジュリエットの像も

いつかあの役ができたら…
密かに心の目標にし、夢を描いていました。

そのいつかできたら、のチャンスは2年後に訪れました。
月組で『ロミオとジュリエット』が上演されることになり、
配役はオーディションです。

あの役が絶対にやりたい!!
今思えば、力が入りすぎて、譜面を嘘ばっかり読んでいたような気もしますが、
この役を絶対にやる!という熱い想いと、
役作りをせずとも見える威圧的な雰囲気だけは、誰にも負けなかったと思います。

そして、私は念願の「キャピュレット卿」の役を手に入れました。

ジュリエットの家の建物のすぐ近くの「ヴェルデ広場」