私にとって大好きで忘れられない役

大劇場で一人きりでソロを歌うのは初めてでした。
毎回毎日が初日のように、ずっと緊張が抜けず、大切に大切に演じていた場面でした。
キャピュレット卿は、私にとって大好きで忘れられない役でした。

昔の記憶がほとんどなく、大事なことは忘れ、どうでもいいことは覚えている私が、
この公演のことは意外とよく覚えています。

娘を叩いてしまうシーンでは、叩くところがどうしても距離が近くて、
「絶対によけますから、思い切りやってください。」
「でも、本当に叩きそうだし…」
「じゃあ本当に叩いてみてください!」

こんなやりとりをしながら、肝の据わった娘と練習してたなぁと思い出しました。
もちろん叩いたことも当たったこともありませんよ。
イメージトレーニングで何度も叩く練習をしていました。

役から離れ、組長という立場で組を見ると、
若い組になったなぁという印象でした。
皆さんからも、若い組になったとよく言われましたが、
若いというのは褒め言葉でもあり、心配の声でもありました。

龍真咲というキラキラしたスターが放つ陽のエネルギーが、
きっと組にいい影響を与えるだろうと私は思っていました。
若さのエネルギーはそのままに、宝塚の伝統を受け継ぎながら、
一人一人がしっかり立てるように見守っていこうと思っていました。

『ロミオとジュリエット』という作品には、いろいろな想い出が詰まっています。
初めてやりたいと思う役に出会い、勝ち取り、役を演じる幸せな毎日の中で、
自然と「退団」という文字が自分の中に生まれました。
そんな時間の中の
最高にいとおしい日々を今も思い出します。

我が家にある『ロミオとジュリエット』のBlu-rayの裏表紙のキャピュレット卿

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