やんちゃで憎めないかわいいトップさん

最後9人目のトップスターは、龍真咲さん。

下級生の頃からずっと知っているので、トップさんに使う言葉ではないとは思いますが、
やんちゃで憎めないかわいい人、というのが私の中の印象です。

こだわりが強いのに、いい意味で自由な人でした。
そこが舞台の魅力につながっていたように思います。

私が退団の時の公演のショーで、「薔薇伝説」という場面があり、
薔薇の造花を龍真咲さんからもらうダンスシーンがあったのですが、
千秋楽はその造花の薔薇が、本物の赤い薔薇になっていました。
彼女の粋な計らいでした。
千秋楽では、その深紅の薔薇をひざまずいて渡してくれたり、
急に抱きついてハグをしてきたり。
そんな驚くことをするかわいい人でした。

キラキラしたオーラを纏い、天真爛漫な彼女も、
人のいないところで涙を流すこともありました。
大丈夫かなと思って見ていると、はしゃいだ姿を見せたり、
彼女なりの大丈夫です!というアピールだったのでしょう。
そんな彼女のことを『ME AND MY GIRL』のジョン卿のように、見守っていました。

当時の月組は、「若い組」だとずいぶん周囲から心配されましたが、
月組のトップスターとして、人気も実力も誇り、
組のリーダーとしてみんなを引っ張り、最高に輝いている彼女を見ながら、
私は宝塚を退団しました。