「他人にはわからない」と頑なにならないで
私は13年前、突然、心臓と血管の病気に襲われた。それまで何の兆候もなかったのにだ。2度の手術と4ヵ月間の入院で、九死に一生を得た。現在、日常生活にも仕事にもまったく困ることはない。だが、この13年間には検査や治療で短期の入退院が幾度かあり、持久力と筋力が激減した。
今も筋トレを続けているものの、加齢のせいもあって、以前にできたことが今はできなかったりする。もう情けなくて、気持がどんよりする一方。しかし、そんな毎日の中で気づいた。
ポジティブな生き方とは、現在の自分自身の状況を受け入れること。そこから何ができるかを考えること。そして、できないことへの未練は断ち切ることではないか。
世の中には様々な問題を抱える人がいるだろう。健康や介護や経済や、人間関係や家庭の問題や多種多様だと思う。そのつらさを「他人にはわからない」と頑にならず、現状を受け入れる。その中で、自分の可能性を取捨する。これは決してネガティブな生き方ではない。
シニア世代における「ポジティブな生き方」とは、「受け入れ、断ち切り、可能性を取捨する」。この流れだろう。もっとも、私も口ではそう言うものの、とてもとても到達できない。ただ、この流れがあるのだと思うだけで、気分は相当明るくなる。