すっきり整えられた玄関

ピアス、海外旅行……年齢にとらわれず挑戦

もともと好奇心が旺盛な私ですが、こんなふうに自由な時間が持てるようになったのは、子育てを終え、夫が定年退職してから。65歳のときには調理師専門学校に1年通い、調理師の免許を取得。姉を病気で亡くして落ち込み、自分を励ますつもりで始めたのですが、学校の勉強は面白かったです。

卒業後は知人の居酒屋で週2日だけ調理場のお手伝い。この経験が、何歳からでも好きなことに取り組めるという自信につながり、チャレンジ精神に拍車がかかりました。

その後、72歳で始めたのが歌。楽譜もドイツ語も読めないのに、ベートーヴェンの第九を歌うアマチュア合唱団に参加したのです。必死に練習して舞台にも立ちました。今も続けています。

そして80歳でピアス・デビュー。昔はイヤリングをつけていましたが、重いし落としやすい。そこで年下の友人にすすめられ、思い切って耳に穴を開けたのです。フープタイプの小さなピアスをいつもつけています。おしゃれは大事ですよね。ワクワクしますから。

それに、自分も家もこぎれいにしていれば子どもも孫も寄ってきます。うちは毎年元旦は全員わが家に集合。孫が恋人を連れてきたりするので、総勢15人ほどに。狭い家ですが、やっぱりここは居心地がいい、と言ってくれます。

イギリスの小説やエッセイを読み、「いつか行ってみたい」と若い頃から憧れていたコッツウォルズを訪れたのも、80歳のとき。地域新聞で、私の理想どおりのツアーを見つけたのです。田園風景を歩いて巡り、B&B(朝食付きの小さな宿泊施設)に泊まり、パブにも行ける。即申し込みました。

海外旅行は何度もしましたが、一人参加は初めて。でも不安よりも好奇心が勝りました。同室になった70代の女性と気が合い、二人で珍道中のように大笑いしながら観光を楽しんだのがいい思い出。当時は足腰も丈夫で、山道もスタスタ歩けましたし、本当に行ってよかった。大満足の旅でしたから、「海外旅行はこれで最後」とピリオドを打てました。

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