人生ムダなことなんて一つもない

長くやってくる中で、エエ仲間もできたしね。今でも(ビート)たけしとかぼんちおさむ、(島田)紳助とからといろいろやり取りをしてるけど、これはこれで面白いしね。

佐賀は海苔が有名やから海苔をみんなに送るわけよ。そうしたら、紳助なんかは沖縄が好きやから沖縄のマンゴーを送ってくれたりするんやけど、たけしの場合は東京やからね。特産品というのがないから、エルメスのセーターを送ってきてくれる。

海苔送ったらエルメスやで。これはエエと思って、毎日送り付けたったら「恐喝か、バカヤロー!」って(笑)。

いや、ホンマにね、エエ人生を送らせてもらったと思いますよ。これをやり残したとか、あそこでこうやっておけばというのはホンマにない。

人生ね、エエことがあったら悪いこともあるのよ。「―がばいばあちゃん」には悪い人は出てこないし、救いのないことも入れんようにしてます。

ただね、そら、ホンマは違うわけです。僕も子どもの頃から、本には載せていないどうしようもなく悲しいこともたくさんありました。芸人が出す本に、誰もそんなん求めてへんやろうし。ただ、ホンマにいろいろありました。

でもね、それがあったから芸人で頑張れたし、今につながっている。芸人になって金がないからメシ食われへんとか、そんなん、子どもの頃から全部経験してきてるから屁でもない。もっと、もっとハードトレーニングしてきたからね。(笑)

これはきれいごとじゃなくて、人生ムダなことなんて一つもない。それをどう生かしていくか。それだけやと思います。オレもなんとかもっと頑張っていこうと思っています。

■島田洋七(しまだ・ようしち)

1950年2月10日生まれ。広島県出身。本名・徳永昭広。71年に「島田洋之介・今喜多代」に入門し、72年にデビュー。74年、現在の上方よしおと組んでいた「B&B」として「NHK漫才コンテスト」で優勝に該当する「優秀話術賞」を受賞する。75年に相方を島田洋八に変えた「B&B」で、80年代の漫才ブームにおける牽引者となり、フジテレビ「笑ってる場合ですよ!」などレギュラー番組多数。2004年、小学2年から中学卒業まで過ごした佐賀での生活を綴った小説「佐賀のがばいばあちゃん」が注目され、シリーズ本が累計1000万部を超えるベストセラーとなる。また、40歳の頃から講演会に活動の軸を移し、これまで約5000回の講演を行ってきた。9月23日には作詞を担当した歌手・そえんじの曲「優しい言葉の中にも」「こんな感じでいいじゃん!人生は」が発売された。