死は特別なものではない

「実務的な終活」を終え、次に取り組んだのは「心の終活」。その第一歩として、死について書かれた本をたくさん読んだのです。

なかでも、私と同様に全身がんの宣告を受けておられた故・樹木希林さんの、「死は特別なものではなく日常の延長線にあるものだ」という死生観に、大きな感銘を受けました。

人は誰でも死にます。それは自然の摂理。そうである以上、自分はことさら運が悪いわけではないととらえることができました。

さらにがん患者の気持ちや、周囲の人たちにどうあってほしいかについて忌憚のないところを広く伝えたいと考え、新聞のデジタルメディアでコラム連載を開始。

使命感にあふれた立派な活動ですね、と言ってくださる方もいますが、本当は私自身が書くことで客観的に自分を見つめ、救われていたのだと思います。