心穏やかに死を迎えるための条件

人生100年時代といわれる昨今においては、60代の若さで死ぬなんて早すぎる、と考えてしまいがち。ですが、「長く生きればいいというものではない」というのが私の持論です。

日本は長寿国ではあるものの、その実、寝たきり大国。健康寿命を思えば、65歳まで生きられたら上等なのではないでしょうか。

「がんでよかった」と考えることでずいぶんと救われた部分もあります。突然死や認知症であれば、生前整理をするタイミングを逸してしまいがち。その点、がんは余命をどう生きるかを考え、死に支度を整えるための時間が与えられています。

自分の人生における「幸い」を数えることが心に折り合いをつけるために効果的なのです。

結果として私は、心穏やかに死を迎えるために必要な3つの条件を掲げるようになりました。それは「両親を見送っている」「子育てに目途がついている」「妻や子どもたちより早く死ぬ」というもの。

すべてクリアしているのだからよしとしようじゃないか。そう考えることで、自分なりの心の落としどころをみつけることができたのです。