離婚が成立しないと支援を受けられない

ところが、当初上の子を入れていた保育園から継続を断られた。

「離婚が成立しないと、ご主人とのトラブルがあるでしょうから、危険で預かれません。他園を当たってください」

やっとのことで受け入れてくれる保育園を探し、下の子にいたっては、正規では入園できず、待機児童扱いで一時保育で保育園に入った。保育料は時間制で割高だった。そしてまた厄介な問題が出てきた。

「離婚が成立していないので、児童手当は今までどおり、世帯主にいきます。いやならば、世帯主と話し合ってください」

元夫に会う気は毛頭なかった。そこで松本は、区の児童手当の担当職員に相談して、健康保険証を切り替え、子ども2人を自分の扶養にした。これによって、月額2人で2万5000円の児童手当が入ってくるようになった。

「母子寮に入っていてひとり親なのは間違いないのに、ひとり親と認定してくれないのは、どうしてなんでしょう。認定されれば児童扶養手当は養育している私に入ってくるのに。ひとり親になれば、水道光熱費の減免や交通費の減免もあるのに、それも受けられないのです」

「これはおかしい」と思った松本は、会社の同僚に聞いてみた。すると離婚調停中でも、ひとり親と認定してくれる区や市があることがわかった。松本の居住する区は、きちんと離婚しない限り認定してくれなかった。区役所に掛け合ったのはもちろんのこと、厚生労働省にも電話して聞いたが、回答は冷たかった。

「あなたの区がそう決めているのならしかたがないですね。児童扶養手当は母子家庭に支給されているので、認定されなければ支払われません」