私はジェラート ピケを勝手に擬人化し、ひがんでいた。(写真はイメージ/写真提供:photo AC)
貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。
当たり前の日常を送る者の視界から、こぼれ落ちる人たちがいる――。壮絶人生の中出会った《贈り物》とは。

ジェラート ピケ:先入観との決別

忘れられない出来事があった。「私が〈普通〉と違った50のこと」を読んでくださった方から、長文の手紙とともに、たくさんのギフトが送られてきた。一つひとつの品に、丁寧な解説が付いていた。

頭皮の湿疹に悩まされていても地肌に優しいシャンプー、ブラシ、シルクの枕カバー。お茶が好きな私のためにと、可愛らしい箱に入った紅茶。そして、高身長の私でも着られるサイズのパジャマ。パジャマはジェラート ピケのものだった。

 

ジェラート ピケ。

 

ジェラート ピケには、長年微妙な感情を抱いてきた。その可愛らしいデザインのホームウェアブランドは大学生のプレゼントの定番品だった。友人たちもよく贈り合っていた。私にはとても買える値段ではなかった。だから私にとっては、自分と違う世界を象徴する品の一つだった。

 

私ははじめからジェラート ピケには相手にされていない。

 

そういう感覚があった。私はジェラート ピケを勝手に擬人化し、ひがんでいた。そのジェラート ピケ!の品を生まれてはじめて手に取ったのだ。伸縮性があって、驚くほど触り心地がよい。背が高い私にもゆとりがあった。すべてが素敵だった。

 

これが、ジェラート ピケと私の和解である。
(いや、勝手に距離を取っていただけなのだが)