なんでこんなに良くしてくれるんだろう?
いつも不思議でならなかった。
そのお二人は言う。
「私も、若い時はとても苦労して、その時、本当に色んな人に助けてもらったの。だから、受けたものを次の世代にお返ししているつもりなの」
「返そうと思わなくていい。こちらは、あげたいからあげているだけだから」
私が出会った人たちは、社交辞令で「返さなくていい」と言っているのではないということがわかった。本当に心から言っているのだ。
余裕ができたら、その時は次の世代へ。
これは本当に大切な教えだ。
私もいつか中年になり、そして少しでも余裕ができたら、その時は寄付をしたい。そんな風に考えるようになった。
こんなに優しくしてもらった。
無条件で与えられた。
だから、いつか自立して、恩返ししたい。
それはプレッシャーではない。
生きる上での活力になっている。
※本稿は、『死にそうだけど生きてます』(ヒオカ:著/CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
『死にそうだけど生きてます』(ヒオカ:著/CCCメディアハウス)
壮絶人生から見る社会。寄稿すればバズる。20代論客、初のエッセイ。
〈まだ子どもだった頃、私にとって育った村は逃げられない檻だった。絶え間のない暴力と、際限のない貧困を閉じ込める檻〉
あの子はほんとに、なまけもの?貧困は自己責任なのか?塾も習いごともあきらめて、独学で国公立大学に進学した著者は言う。「それでもまだ、スタート地点に立てたわけではなかった」と。みなが自分の《強者性》を自覚する。そして、今より5ミリずつ思いやりの手を伸ばす。その総和が社会を優しく、生きやすくするのではないか?