「これでいいのだ」
「残しちゃって気持ち悪い」とか「やっぱり体力が落ちたのかな」と思うとマイナスになりますが、天の配剤でしょうか、《これでいいのだ》と思えるようになりました。
これって赤塚不二夫さんの『天才バカボン』のパパのセリフですよね。でも、今や私のものになりきっています。
人間うまくできていると思います。年をとって体力が落ちてきたら《これでいいのだ》と思えるようになるという救いの道ができているのですから。
ここで私にはできるはずと頑張ったり、できないと嘆いたりすると辛いので、逆らわないようにすると楽です。真宗大谷派難波別院の掲示板には、「これでいいのだ ~赤塚不二夫~」とあるとのことです。
バカボンのパパのこのセリフは、「ありのままを受け入れる」というお釈迦様の悟りの境地に重なると解説されていました。それは「過去」や「未来」から離れて「現在」を見ることであり、目の前にある幸せを感じることなのだそうです。
お釈迦様と比べるのはおこがましいですし、難しいことはわかりませんが、私は「今を大切に」生きていこうとしています。
たかが草取りや落ち葉掃きですけれど、最近よく使うのが《これでいいのだ》であり、それがとても楽なのは事実なので、それがお釈迦様と同じだよと教えていただくのはなんともありがたく、元気になりました。
※本稿は、『老いを愛づる-生命誌からのメッセージ』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
『老いを愛づる-生命誌からのメッセージ』(中公新書ラクレ)
白髪を染めるのをやめてみた。庭の掃除もキリがないからほどほどに。大谷翔平君や藤井聡太君、海の向こうのグレタさんのような孫世代に喝采を送る――年をとるのも悪くない。人間も「生きもの」だから、自然の摂理に素直になろう。ただ気掛かりなのは、環境、感染症、戦争、競争社会等々。そこで、老い方上手な先達(フーテンの寅さんから、アフガニスタンで井戸を掘った中村哲医師まで)に、次世代への「いのちのバトン」のつなぎ方を学ぶ。レジェンド科学者が軽妙に綴る、生命誌38億年の人生哲学。