「本当は必要としている人が山ほどいるのだけど、マッチングされていないのが問題です。訪問歯科が当たり前の社会になれば、数はもっと必要になると思いますよ」

全国市区町村で受けられる

訪問歯科診療は誰でも受けることができるのだろうか。国もその重要性を認めているため、訪問歯科医の数は増えているが、それでもまだ足りない。

「たとえば新宿区には6万7000人の高齢者がいます。介護保険を使っている人が3万人だとすると、1万人ぐらいは訪問歯科が必要なはずなんです。でも歯科医が家に来てくれることを知らなかったり、訪問診療は高額そうだからと二の足を踏んだりして、あきらめているケースが多い。

一方、歯科医のほうもあまり診療の要請が来ないので、外来に注力してしまう。本当は必要としている人が山ほどいるのだけど、マッチングされていないのが問題です。訪問歯科が当たり前の社会になれば、数はもっと必要になると思いますよ」(五島先生)

数年前から歯科医師会が大号令をかけているので、訪問歯科は全国の市区町村に存在している。あきらめずに探すことが大切だ。ケアマネに相談するか、地域の歯科医師会を調べれば、必ず来てくれる歯科医がいるはずだと、五島先生は話す。

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