高安の姿に、土俵の悲劇を見た
巴戦はくじ引きで順番が決まり、連続2勝すれば優勝だ。
最初に高安と阿炎が対戦。阿炎が横に動き、高安は阿炎の胸にぶつかったのか、土俵に両手をついて起き上がれなかった。脳震盪なのか首を痛めたのか不明。次に貴景勝が勝ったら、高安は相撲が取れるのかと心配になった。阿炎は次に登場した貴景勝を一気に押し出して優勝した。高安は今年3回も優勝できるところを逃したことになる。花道を目を赤くして帰る高安の姿に、土俵の悲劇を見た。獲得したのは4回目の殊勲賞だけだった。
貴景勝も3回目の優勝を逃し、さぞ悔しかったことだろう。
カド番の大関・正代は6勝9敗で大関から陥落。
来年初場所は、一人横綱と一人大関となる。
技能賞は、関脇・豊昇龍が2度目の受賞。成績は11勝4敗。
今場所、残念だったのが新小結・翔猿だ。相撲根性で動き回ったのに、7勝8敗で負け越した。
前頭16枚目・照強は全敗。千秋楽でNHKテレビの正面解説の北の富士さんは「全勝するよりも全敗のほうが難しい」と、深みのある発言をしていた。
今年の大相撲を振り返ると、「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という鴨長明の『方丈記』の出だしを思い出した。