やりぬく粘り強さは、宝塚で培った財産
――― 花組トップを務め2019年に退団した明日海りお、雪組トップを務め2021年に退団した望海風斗、現在も専科で活躍中の凪七瑠海といったスターを輩出した89期。「華の89期」と表現されるほど、華があって実力のある生徒がそろっていたと言われている。妃乃さんも例外ではなく、現在も現役時代と変わらない美しさを保っている。
音楽学校では、がまんづよさ、あきらめない気持ちなどを叩き込まれ、生きるか死ぬかみたいなギリギリのところでがんばっていたと思います。その時代を共有した同期のみんなとは今でも本当に仲がいいんです。いまだに連絡はしょっちゅう取りあいますし、情報交換もしています。「なりきりステージ」の活動も同期が協力してくれていますし、いつも応援してくれています。
ここ数年は、宝塚歌劇団という夢の世界を卒業した後の、それぞれの生き方を実体験をベースに描いたオリジナルミュージカル『This is ME』をプロデュースして上演しています。タカラジェンヌって卒業後は、同じように芸能の世界で生きる人、専業主婦になる人、違う世界でキャリアを積んでいく人と大きくは3つの道に分かれると思うのですが、それぞれのリアルなできごとを盛り込んでひとつの作品にしています。
「隣の芝生は青く見える」というように、それぞれの立場をお互いにうらやましいと感じているようなことを描いていて、「幸せの価値って何?」というのが大きなテーマです。結局は、自分の幸せの価値は自分で決めるしかない、そのことに気づくと自分が幸せだということにも気づくんですよね。
周りには「絶対に無理」って反対された大きなイベントの企画を立ち上げたときも、なんとかなりました。あきらめないで、やりぬくという粘り強さは、まさに宝塚で培った財産です。
これからもやりたいことを見つけたら私らしくやりきっていきたいです。