(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第35回は「芝居の月組と宝塚の余興文化」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

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どんな時も、演じる時は全身全霊で

私のいた月組は、「芝居の月組」と呼ばれていました。
お芝居の上手いトップスターさんが多く、
才能に秀でたベテラン勢が集まった「専科」にも、月組出身者から人材を多く輩出しています。

そんな芝居上手な上級生を見て、真似て、様々な事を習得してきました。
お芝居の稽古中、やる度に「違う」「違う」と演出家に跳ね返されても、
すぐに違う設定を考え、演じ続けていく姿や、
今日はこういう生い立ちで
今日は癖のある人で
今日は髭をつけて
いろんな事に挑戦している上級生を見て、
「ほぉー!そうくるのかー!」
どんどん引き出しが増えていった感じです。

下級生も負けてはいません。
「今日は鬘を前後逆に被ってみました!」
ん!?
何でも挑戦するのはいいけれど、それはちょっと違う気が…。
しかし意気込みだけは誉められていました。

そんな組だったので、どんな時でも演じるという事に全身全霊をかけます。