「素敵」の秘密を“センス”として取り込む

そこで見出した好きな色のコンビネーションは、たとえばパッチワークやリメイクなど、いろんなシーンで役に立ちます。もしモノトーンでも素敵に見えたのなら、それはフォルムが美しいから、などと気づくかもしれません。

紫苑「この時期の街角にはセンスを磨くヒントがいっぱいです」(写真提供:著者)

思い出せば、かつての私はいろんなものを見てはやたらと欲しがり、人が身に着けている「素敵」を羨み、それを自分のものにできないときには不満や羨望が心に沸いていたもの。美術館で観た着物にさえ「自分のものにしたい」という、もんもんとした気持ちを抱えていたものです。

でも「買えない商品が並ぶお店は、私にとっての美術館」と捉えてからは、気に入った絵画の前に何時間もいる美大生のように、美しいものを心にしっかりと刻み込み、「好き」や「素敵」の秘密を探り、その秘密を“センス”として何か別の形で取り込もうと考えるようになりました。

人の欲望にはキリがありませんし、欲しいものすべてを自分のものにすることもできません。それならば「素敵」から自分の「好き」を見つけて自分を更新していくほうが楽しく、また有意義なこともあると気づきました。