子ども達のサポートで立て直す。介護保険を活用
デイサービスにも通うようになり、お昼はデイで食べてくる。夜は配食サービスをとり、朝はこの3食弁当。食事面は心配がなくなった。
現在、村上さんは自宅にひとりで暮らしているものの、夜から朝にかけては、3人の子ども達の誰かしらが泊まりに来たり、家に連れて行ったりしている。
「ひとり暮らしというのは不安が大きいですから。風が吹いたり雨が降ったり、消防車や救急車の音が聞こえてきたり、何か物音が聞こえると不安が募ります。高齢の母はますますそうだと思います。だから、何かあっても誰かがすぐ来てくれるというのは、大きな安心だろうと」
高齢の親を子ども達が支える、お手本のようなサポート体制だ。でもそれは、90歳まで自立して暮らし、子ども達に寄りかからずに来たからこその、現在の関係なのだろう。
千万里さんの言葉が印象的だった。
「大人になってから、妹とあまり交流がなかったのだけど、こうして母のサポートを一緒にするようになって、交流が復活しました。きょうだいがきょうだいらしくなったというか。母のおかげです」
※本稿は、『過疎の山里にいる普通なのに普通じゃないすごい90代』(著:池谷啓/すばる舎)の一部を再編集したものです。
『過疎の山里にいる普通なのに普通じゃないすごい90代』(著:池谷啓/すばる舎)
過疎化が進む山里。しかしここには、鉄人のような90代の元気な高齢者がたくさんいた──。88年、1日もか欠かさず日記を書く。和紙作り、鍛冶など職人技を守り続ける。99歳で毎日、自身の商店に立ち、仕入れから販売まですべて一人でこなす。軽々とチェーンソーを操り、木を伐る……。登場するのは、一見ごく普通のおじいさま・おばあさま。けれども、普通ではないお元気さ。その健康長寿の秘訣は何なのか?各人各様の人生を紐解きながら迫っていく。「人生100年時代」の希望の書。