『過疎の山里にいる普通なのに普通じゃないすごい90代』(著:池谷啓/すばる舎)

90歳頃、ひとり暮らしで栄養不足に

18年前に夫を亡くし、布団屋の店舗兼住まいでひとり暮らしを続けていた。

家事は何でも自分でやり、自立した生活を送っていたが、異変があったのが5年ほど前、90歳の頃。

長女の千万里さんが言うには、2年続けて熱中症になったそうだ。

「それまで母は、とても元気にひとりで暮らしていたから、食事もしっかりとっているのだろうと思ったのです。

でも、父が亡くなってからは、どうも食事がおろそかになっていたようで。

好きな大根おろしと豚肉を煮たものばかり、毎日のように食べていたみたいです。食事を作る家族がいないと、女の人は残り物で済ますというふうになりがちですね。栄養が全然足りていなかったと思います」