「怒ったら自分が損。人生は喜ぶためにあるもの」
村上さんは、福々しい見た目通りの「愛されおばあちゃん」だ。
何ごとも、さらりさらりと流し、わだかまりを持たない。
「行きますか」と言うと、「行きましょう」。「やりますか」と言うと、「やりましょう」。「寄っていきますか」と言うと、「寄っていきましょう」。即、好奇心を示される。
「元気なうちに、行けるうちに、何でもやっておきたい。でないと、あとでできなくなってしまうもの。元気なうちじゃないと体験できないから」
イライラしない。怒らない。ため息をつくこともない。くよくよしない。
「だって、怒ったら自分が損じゃない。あとで疲れるだけじゃない。
それに、人生って喜ぶためにあるんじゃない。何ごとも喜ばなくちゃ損だもの。人生、楽しむためにあるから。つらいことばっかりじゃいやでしょう」
いつもおだやかな微笑みがある。すすんで自分のことは話をしないが、人の話を聞いて楽しそうにニコニコ笑っている。ほとんど怒りを表わさない。
毎日、克明な日記をつけている。
「日記を書くのは、いろいろ煩わしいことを忘れるため。嫌なこと、つらいこと、おもしろくないことがあっても、日記に書いて忘れることにしているの」