自ら大木を伐採し枝打ちする林業家 鈴木末吉さん(92歳)(写真提供:すばる舎)

総務省の調べ(2022年)によると、日本の総人口に占める65歳以上の高齢者人口の割合は29.1%と過去最高。日本の高齢化はますます進んでいます。

静岡県浜松市の山間部にある、人口3500人ほどの町、春野町。子どもの声はほとんど聞こえず、過疎高齢化がすすむ町ではあるものの、出会うお年寄りたちはみんなとても元気。なぜでしょう?――92歳の鈴木末吉さんは、今でも山道で軽トラを軽快に操り、大木を伐っています。

軽々とチェンソーを操り、木を見事に伐り倒す

90代で大木を伐る人など、めったにいるものではない。

「そのお年で木に登って枝払いをしたり、木を伐るなんて、とても考えられませんけど」

「よし、じゃあ見せてあげるよ。一緒に軽トラに乗りな」

鈴木末吉さんは、自分の山まで坂道を登っていく。

無駄のない、スピーディなハンドルさばき。山の道を、なんの迷いもなく、すいすい運転していく。

あいにく小雨が降っていたので、本格的に伐るのは危ない。だが、「こんなふうに伐るのだ」と見せていただいた。

木に登るときには、はしごと安全ロープ。チェーンソーはこうやって扱うと教えてくれた。

所有している裏山(およそ10町歩)の木も何千本、何万本と伐ってきた。今でも人に頼まれれば山に入り、木を伐ることもある。

この間は、友人の家の後ろに大きな木が傾いてきて危ない。「木を伐ってほしい」と頼まれて、伐りに行った。