室町幕府が滅亡したのはいつ?

一般的に「政子が歴代将軍のなかに入っていないのはなぜ?」と質問されたら、「天皇から征夷大将軍に任じられていないんだもの、当然じゃないか」という答えがただちに思い浮かびますよね。

まあ、普通はそうでしょう。けれども、その答えではおかしなところもあるんです。

約150年続いた鎌倉幕府は1333年、足利尊氏らによって滅ぼされます。では続いて成立した室町幕府が滅亡したのはいつでしょうか?

教科書には天正元年、1573年とあります。この年に15代将軍の義昭が織田信長によって京都から追放されたからです。

ところが、朝廷は義昭から「征夷大将軍」の官職を剥奪していないんですね。彼は実にそのあと15年間、天正16年まで在職していたのです。

だったら義昭は将軍のままで、幕府も存続していたのか? 義昭は毛利家に庇護されて備後国の鞆(現在は広島県福山市)にいたので「鞆幕府」があったのか?

そう考える研究者もいるのですが、ごく少数です。やっぱり違和感ありますものね。だとすれば「天皇が任命しているから将軍だ」と、簡単には言えないのかもしれません。