反対に、ドラマや舞台での芝居の場合は、すべてを自分で決めなくてはいけません。表情、動きの大きさ、セリフの間合い……。もちろん監督の演出もありますが、基本的に自分がどう動けるかを感じながらアプローチしていくものだと思っています。
先日、縁あって出演させていただいたドラマ『半沢直樹』の現場は、とにかく刺激的でした。僕が演じたのは、片岡愛之助さん扮する金融庁の検査官・黒崎の部下・古谷。僕自身ドラマの経験が多くはないので、プロフェッショナルな方々の中で仕事ができたことは何より勉強になりましたし、貴重な時間でした。
そのなかで、お芝居の面白さを改めて感じる瞬間がありました。黒崎と古谷が、堺雅人さん扮する半沢と対峙する場面で、堺さんが特にセリフのない僕にチラッと目線をくれたのです。内心舞い上がったものの、黒崎の部下としての自負を持ってそこに立っているので、喜んでいる場合じゃない。そこで反射的に、クッと半沢をにらみ返しました。
すると、カットがかかってすぐに堺さんがそばに来て、「芝居を返してくれてありがとうございます」と言ってくださって。一瞬で「なんて素敵な人!好き!」ってなっちゃいました(笑)。常に真剣勝負で芝居のコミュニケーションをとっているからこそ、面白いアドリブが生まれるんですね。しかもワンカットしかやらなかったそのしぐさを、監督が使ってくれたのも嬉しかった。《黒崎による古谷の股間わしづかみシーン》も、いい記念になりましたね。(笑)
アニメも舞台もドラマも形はそれぞれ異なりますが、《演じる》ことが本当に楽しいし、大好きなんです。同時に難しさも感じるので、今まで以上にお芝居にチャレンジしていきたくなりましたね。