娯楽を封じられた瞬間、求める力が強くなった

最近は、時差なく海外に提供できるアニメコンテンツが増えてきたおかげで、外国のファンの熱量が本当にすごいんですよ。僕も以前、ロサンゼルスでのイベントに参加したのですが、歓声ひとつとっても、「ワー!」ではなく「フォーーーゥ!!」みたいな感じで。しかも、アニメを日本人キャストの声で観たいがために日本語を勉強している人も多いのです。台湾でのイベントでは、僕が日本語で小ボケを入れた瞬間に、みなさん笑ってくれました。(笑)

そんな海外のファンのみなさんをはじめ、今までどうしても届けることができなかった人たちにも見てもらえて、しかもみんなが同じ瞬間に感情を共有できる。人と距離をとらなければならない時代に、より広くつながれるって面白いですよね。僕も今からワクワクしています。

そして12月に発売するシングル「ZERO to INFINITY」には、希望を込めました。エンターテインメントの世界にいると、「有事の際、最初に必要になるのは僕らではない」という現実に直面し、無力感を覚えることがよくあります。でも今回のコロナ禍では、娯楽が封じられた瞬間に、むしろそれを求める声を強く感じたんです。たとえば、星野源さんがいち早くSNSで「うちで踊ろう」の弾き語り動画を発信してくださったように。多くの人が「エンターテインメントの流れを止めてはいけない。つないでいこう」と考えていたと思います。

それは作品を作るスタッフのみなさんもそうで、このシングルにも「苦しい状況だけど、希望を胸に、共に乗り越えよう」という願いが込められています。カップリング曲にも、混沌とした世の中で《信じるもの》を見つけることの大切さや、ドームライブが中止になってしまい、残念だと感じているファンのみなさんへのメッセージなどを歌にしたつもりです。ぜひ聴いてみてください。

ありがたいことに、来年も楽しみな仕事がたくさんあります。今後の宮野真守に期待していただけると嬉しいです。