増え続けるニーズ。 家事代行が「手軽」な時代に

依頼する前に家を片付けなくてはという考えや、家事を外注することへの“罪悪感”を完全になくすのは、日本において難しいことなのかもしれない。しかし「近年、日本の社会も家事をひとりで背負い込まない流れにシフトしてきている」と、家事代行サービスを提供しているニチイ学館の柳澤友啓さんは語る。

「サービスを開始したばかりのころは、利用したことを夫に内緒にしてほしいという依頼をいただいたこともありました。でも最近は、『妻にラクをさせたい』とお申し込みをされる男性も。ニーズが増えて、人材不足のためやむなくお断りしたケースもあったほどです。しかし優秀な外国人スタッフが入ってくれたことで、高まる需要に応えられるようになりました。現在は、40~50代の比較的家計に余裕があるご家庭からの依頼が多いですが、今後はもっと幅広い層に浸透していく確信があります」

フィリピン人スタッフ専門の家事代行業を営むピナイ・インターナショナルの小園崇史さんは、「都内に住む共働きの若いご夫婦のなかには、妊娠・出産・育休などライフステージが変化するタイミングで、家事代行サービスを使ってみるという方が増えている」と話す。

「家事代行サービスを利用した会社の同僚や友人などから話を聞き、『じゃあ、私も』と思う方が多いようです。『家事を外注するのは特別なこと』という意識は、少しずつ変わっているのではないでしょうか」

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何かに追い立てられるように家事をする私を見て、家族や子どもたちは、どう思っているのだろう、とふと思うことがある。一体、なんのためにこれほどがむしゃらに家事をしているのだろう、と。

その答えのひとつが「家族が幸せに暮らすため」だとしたら、完璧な家事を目指しひとりで苦しんでいる自分は、本当に家族と幸せに暮らしているといえるのか。最初は多少居心地の悪さを感じるかもしれない。しかし、「サボる」のではなく、「やめたおかげ」で生まれる時間で、家族も自分も笑顔になることができるのだとしたら……。

こだわりをひとつずつ手放して、近くの誰かに、あるいは外国からやってきた朗らかで勤勉なプロの人たちに、助けを求めてもいいのではないだろうか。

 


※現在発売中の『婦人公論』10月23日号にも、玉居子泰子さんのルポ「ラクすることに罪悪感がつきまとうのはなぜ?」が掲載されています。併せてお楽しみください。