圧倒的なオーラを放つトップスターの存在、一糸乱れぬダンスや歌唱、壮大なスケールの舞台装置や豪華な衣裳でファンを魅了してやまない宝塚歌劇団。初の公演が大正3年(1914年)、100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第36回は「宝塚退団の儀式」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
「鐘が鳴る」
宝塚に入団したからには、誰しもいつかは卒業の時を迎えます。
退団の時期は自分で決めます。
タカラジェンヌが退団を決意する時、「鐘が鳴る」といいます。
退団の時期がきたことを知らせる鐘が、その時がきたことを教えてくれます。
退団発表は組の集合日に発表されます。
2013年に上演された月組のミュージカル『ルパン-ARSÈNE LUPIN-』グランド・レビュー『Fantastic Energy!』。
この公演の集合日、私を含めた3名の退団が発表されました。
退団することは集合日まで内緒にするのが決まりです。
トップの龍真咲さんと、副組長の憧花ゆりのさんだけには前もって言いましたが、
他は誰にも言えませんでした。
言えずにいたことが苦しかったので、退団を発表して、
やっと言えたという思いと、いよいよ辞めるんだなという実感と、
解き放たれるようないろんな気持ちがありました。
仲間と離れるのは寂しいけれど、友達関係が終わるわけではないし、
思いきり楽しんで、悔いのないようにしよう!